文字の誕生 〜楔文字からプログラミング言語まで〜

文字は対面以外でのコミュニケーション

皆さん、日本語の読み書きは問題なくできるでしょうか?「バカにするな!」という声が聞こえてきそうですが、ちょっと質問を変えてみます。「ローマ字でタイピングはできますか?」あるいは、「プログラミングコードの読み書きをパソコンでできますか?」と聞かれると、自信を持って「できる」と答える人は意外と少ないのではないでしょうか。

日本語の言葉は、耳で聞いて自然に覚えるものです。しかし、文字となると、時間をかけて学習しないと習得できません。私も日本語の読み書きは、日本の小学校の義務教育で学びました。このように、国で教えられる文字の読み書きができる人の割合を示すのが識字率です。

さて、文字の起源は何千年も前にさかのぼります。文字は単なる記号の集まりではなく、人類が時空を超えて情報を伝える手段として生まれ、進化してきた壮大な歴史の証人なのです。

この記事では、楔文字から始まった文字の歴史がどのように今日のプログラミング言語にまでつながっているのかを探ります。文字と言葉がいかにして情報革命を支え、人類の知識を広げてきたのか、その長い旅を一緒に振り返りましょう。

1. 文字の起源

紀元前3500年頃
まず舞台はメソポタミア。ここで粘土板に刻まれた楔形の記号、つまり楔文字が生まれました。交易の記録や財産管理のために使用され、文明の複雑化に伴ってその重要性は高まりました。

紀元前3200年頃
エジプトでは、ヒエログリフが登場します。これらの象形文字は神聖な意味を持ち、壁画や墓碑に刻まれました。単なる記録手段を超えて、宗教的な信仰心を伝える役割を果たしたのです。

紀元前2000年頃
東アジアでは、中国の甲骨文字が使われ始めました。これは亀甲や牛の骨に刻まれ、占いの結果を記録するために用いられました。これらの文字は次第に洗練され、現代の漢字へと発展していきました。

2. アルファベットの進化

紀元前1500年頃
フェニキア文字の誕生です。海洋民族フェニキア人が作り出したこの文字は音素を基にしたシンプルな体系で、多くの文明に影響を与えました。実用性に富み、他の民族がこれを取り入れることでアルファベットの普及が進んだのです。

紀元前800年頃
ギリシャ人はフェニキア文字を改良し、母音を取り入れたギリシャ文字を作りました。この文字が、後にローマ人によってラテンアルファベットとなり、今日の西洋文字体系の礎となります。現代でも使われる「A」や「B」の形はここで生まれました。

3. 文字の伝播と革新

中世
この時代には写本文化が栄えました。修道士たちが一文字ずつ丁寧に聖書や文学を手書きで写し、書物を保存していたのです。しかし、それはとても手間のかかる作業でした。

1450年
そこに革命をもたらしたのがグーテンベルクの活版印刷。印刷技術によって文字は広く一般に普及し、人々は書物を手にすることができるようになりました。これが知識の民主化を促進し、社会を大きく変えたのです。

4. デジタル時代の到来

1800年代後半
時代が進むと、電信が登場し、モールス信号のような符号化された文字が生まれました。情報の送受信が一瞬で行われるようになり、人類はまた新たなコミュニケーションの形を手に入れました。

1940年代
初期のコンピュータ、ENIACが登場し、機械言語を使って計算が行われるようになりました。0と1の世界が広がり、これは現代のプログラミング言語の基盤となりました。

1950年代
FORTRANやCOBOLといった初期のプログラミング言語が登場しました。科学計算や業務処理が効率化され、コンピュータの利用が一気に広がりました。

5. 現代のプログラミング言語

1980年代
C言語やJavaが開発され、ソフトウェア開発が劇的に進化しました。現在ではPythonJavaScriptなど、さまざまな言語が使われています。私たちのスマートフォンやインターネットも、これらの技術に支えられています。

6. 未来の文字と言語

未来では、文字と言語はさらに進化するでしょう。人工知能(AI)がプログラムを自動生成し、機械同士が会話する世界もそう遠くありません。私たちは、歴史に思いを馳せつつ、新たな文字の時代を迎えています。

まとめ

文字と言語は、人類の知恵が凝縮された存在です。もし文字がなければ、私たちの知識は次の世代に伝わらず、文明は築かれなかったでしょう。プログラミング言語も、文字の進化の延長線上にあるのです。次にキーボードを打つとき、この長い歴史を思い出してみると、文字への感謝の気持ちが少し湧いてくるかもしれませんね。

ありがとうございました!

 

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